皆さん、こんにちは
チョークです
家庭教師の思い出シリーズ第5弾です
サブタイトルは読書百遍意自ずから通ずる&下手な考え休むに似たり
古人に学ぶ
「読書百遍意自ずから通ずる」も「下手な考え休むに似たり」も昔から言われていることであり、古人に学ぶことは大切です
コトバンクによれば、読書百遍意自ずから通ずるとは、「初めはむずかしくてわからない書物も、辛抱して何度も繰り返して読んでいると、おのずと理解できるようになる。」と書かれています
下手な考え休むに似たりについては、「下手な人が考えるのは休んでいるようなもので、時間ばかりかかって、なんの効果もない。」と書かれています
「そのくらい知ってるよ!」と聞こえてきそうですが、この二つの成句は受験の戦略を立てる上では極めて重要な考え方です
では、それぞれについて、説明をしていきたいと思います
読書百遍意自ずから通ずる
こちらについては、受験勉強に引き直すと、「難しい問題や理解できない分野についても、辛抱して何度も解きなおしたり読み直しているうちに自然と分かるようになる」ということができます
そして、ここから得られる具体的な戦術としては、「理解できなくても何度もやる」ことと、「徹底した反復練習の重要性」の二つがあります
「理解できなくても何度もやる」のが重要なのは、後から出てくる「下手な考え休むに似たり」とも密接に関連してくるのですが、自分自身、大学受験の数学や、司法試験受験の学説理解において、初見出全く分からなかったことも、分からないながらに繰り返したことによって、あるとき突然「あ!そういう事だったのね」と自然と腑に落ちる経験を幾度となくしてきました
同じような経験がある人もいらっしゃると思います
また、徹底した反復練習は、エビングハウスの忘却曲線の活用事例からも分かるように記憶を強固に定着させるもので、受験勉強の上で非常に重要であることはいうまでもありません
その意味で、読書百遍意自ずから通ずるについては、多くの指導者が指導していることに通じるように思います
下手な考え休むに似たり
こちらについては、ある意味学校教育でよく言われる「分かるまで考えろ!」という指導方針と真っ向対立するものであり、ボク自身も司法試験の勉強をする中で体得した考え方です
ボクは、高校1年生のときに和田秀樹先生の「数学は暗記だ」を読んで以降、結構勉強法を勉強して「いかに楽して成績を上げるか」ということに腐心していたのですが、残念ながら高校生時代の自分は「下手な考え休むに似たり」に至ることはできませんでした
この「下手な考え休むに似たり」については、LECという司法試験予備校で教鞭を執っておられる柴田先生の『司法試験機械的合格法』に、「分からない問題はさっさと諦めて答えを読め」的な下り(手元に原典がないのでかなりうろ覚えですが)を読んで取り入れた手法です
多くの人が層でしょうが、子どもの頃から、「分かるまで考えろ!」「考え抜くのが大事だ!」と言われて育ってきた身としてはパラダイムシフトを起こすような転換だと思うのですが、受験戦術としては極めて正しい考え方だと思います
たとえば、因数分解をしなければならない問題に直面したとき、因数分解が理解できていなければどれだけ考えても答えは出てきませんよね
より抽象化・一般化するならば、問題には、問題を解くために絶対的に必要な基礎知識は基本的事項があり、そのため、これらのベースとなるものがそもそも頭に入っていなければ、正解にたどり着くことはできません
私自身は、生徒には「無い袖は振れないから、袖を作るのが先だ!」などといって指導していました
それ以上に、自分的には司法試験の論文試験対策に役に立ちました
マニアックな話になってしまいますが、私が受験していた旧司法試験の論文試験というのは、2時間で2問があり、それぞれ問題を読んで1問あたり1200字~2000字程度の論文を書くという試験で、お作法としては、「問題を読む→答案の骨子を作成する(答案構成といいます)→答案を書く」という流れで論文を書くこととなっていました
その際、「問題を読む→答案構成」の部分で、答案構成がうまくできない問題はさっさと諦めて解説を読むという勉強法を取り入れたことにより、劇的に学習効率が上がったのです
大学受験時代に知っていれば、数学の成績をもっと上げることができたのではないか、とも思っております
では、その問題についてどこで諦めるかということですが、これについては、自分の中で「何分考えて解けなければ答えを読む」というルールを決め、これに従って機械的に適用するのが良いと思います
経験則的に3分考えて解けなければその問題を1時間掛けても解けないと感じる人なら3分、それが5分なら5分、と人それぞれだと思いますが、余りに長い時間を設定するのは学習効率的に良くないので、ほどほどの時間設定をするのが良いと思います
答えを読むことの重要性
で、次に大事なのは、その問題の答えをきちんと読むということです
教科書を読むつもりで読みます
その意味で、解答の数値しか載っておらず、解答に至る筋道、計算問題でも式変形過程が載っていないような問題集などは余り良くないのではないかと思いますが、解答解説の充実した問題集であれば、その解説を読むことによって教科書や授業で教えられた知識が具体的にどのように実際の問題で使われて解答へ至るかの過程が説明されており、これを読むことによってその問題を理解することができます
ここで注意すべきことは、「分かる」ことと「解ける」ことには大きな開きがあることなので、次分かったとしても解けるか分からないため、このように解答を読んだ後、一度自分でそれを再現してみることが重要です
逆に、解答を読んでも「分からない」状態であれば、この問題以前の基礎知識が抜けているということになります
特に積み上げ系科目においては、それより以前に学習した部分の理解が不十分だと、「解答を読んでも理解できない」ということがあります
この場合は、「もっと前で躓いているんだな」と復習の重要性を再認識して次の問題に進んでください(ここで原因究明を始めると膨大な時間がかかります)
このように「下手な考え休むに似たり」から「諦めの重要性」と「躊躇なく解答解説を読む」という学習法を取り入れることにより、問題演習でボトルネックとなる「分かるまで考える」という呪縛からと機放たれることが出来、かなりの速度で問題集をまわすことができるようになります
この「まわす」と言うところも重要で、先ほど述べた分からない問題にであった際も問題集を先に進め、最後まで行ったら最初に戻ることによって、結局躓いた分野にどこかで戻ることができるのです
一冊を繰り返すか、何冊もやるのか
この手法をとりいれることにより、問題演習速度が劇的に向上します
そうすると次の問題として、一冊を繰り返すか、何冊もやるのかという問題が出てきます
知識の穴を埋めたいと考えると、何冊も問題集をやりたくなりがちですが、知識や解法の定着を考えると同じ問題をしっかり繰り返すことも捨てがたいと思います
ボクの経験則からすると、「一冊が(ほぼ)完璧になってから次の問題集に進む」というのが結論となります
というのも、パレート理論という経験則が受験についてもあてはまり、学習すべき事項の重要な2割が実際の得点源の8割を支えることができると言えるからです
ということで、「読書百遍意自ずから通ずる」と「下手な考え休むに似たり」について述べさせて頂きました
次回は、「一冊が(ほぼ)完璧になってから次の問題集に進む」とはどういうことかについて解説させていただきたいと思います